約 3,698,831 件
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/1403.html
ミント・アドネード ファンタジア 称号名 備考 ヒーラー デフォルト。レディアントマイソロジーでの称号もこれ クレリック LV7 プリースト LV12 ビショップ LV20 カーディナル LV40 ポープ LV80 キューピット ナンシーとエルウィンの結婚式を見る ボインちゃん 忍者の里に行く きよきおとめ ユニコーンホーン入手時 うたひめ よーみライブを見る→フェイスチャットを行う(すずがいるとイベント消滅)(PS/FVE版のみ) グルメマスター すべての料理熟練度を最大にする ピアノのせんせい 未来ベネツィアの市長の家にいる女の子に5回ピアノを教える おじょうちゃん? 過去ユークリッドでクラースに会う(GBA版のみ) さいしょくけんび? 未来浸食洞に2回行き、料理を作る(PS/FVE版のみ) ファンダムVol.2 称号名 備考 ヒーラー 初期取得 やさしいナース? アドベンチャー:アーチェ編 ビショップ テイルズオブパズル:ミントでプレイし、45秒未満でパーフェクトクリアする ターボおとめ? テイルズオブパズル:ミントでプレイし、45秒未満でクリアする ジャラひめ? テイルズオブドンジャラ:ミントでプレイし、1位でクリアする ワンピース? テイルズオブパズル:ミントでプレイし、2900点以上を獲得する バーサス 名称 入手条件 効果 コンボ初心者 コンボ10Hit以上 HP+1% TP+1% コンボ上級者? コンボ20Hit以上 HP+2% TP+1% TP回復+1% コンボマスター コンボ30Hit以上 TP+2% TP回復+2% 敏捷+2% コンボキング? コンボ50Hit以上 TP+5% TP回復+5% ヒーラー 初期称号 物防+1% TP回復+1% クレリック GP1000以上 TP+2% 物防+1% ビショップ GP10000以上 HP+2% 物防+2% カーディナル GP20000以上 詠唱速度+3% TP回復+3% ポープ GP30000以上 HP+4% 詠唱速度+4% パーフェクトヒーラー? 「サバイバルバトル」を10連勝 TP+3% 詠唱速度+3% 才色兼備? 「アーケードバトル」をクリア 物防+3% 術防+3% ユグドラマニア? 「ユグドラシルバトル」をマニア以上でクリア TP回復+10% ユグドラマスター? 「ユグドラシルバトル」をアンノウンでクリア 敏捷+10% ミント_ガン攻め? モバイル連動で入手 ミント_ガン守り? モバイル連動で入手 脱がなくても凄い? モバイル連動で入手 清き乙女 モバイル連動で入手 平和を祈る乙女? モバイル連動で入手 TOPなりきりダンジョンX 称号名 備考 悩める聖女? ヒーラー クレリック プリースト ビショップ カーディナル ポープ 捧げる愛? ボインちゃん きよきおとめ 宿命の輪?
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/1666.html
E.G.O. 阿羅耶識 WIZ-DOM ダークロア 極星帝国 イレイザー E.G.O. キャラクター 0217 おさんぽ少女 1587 ブリーダー ブレイク 0010 写真部員 1596 ドギィアイドル 阿羅耶識 キャラクター 0739 忍犬使い 1329 魂珀狐 1930 地狐 ブレイク 1944 狼巫女“三峯 冴子” 1953 狼巫女“三峯 冴子” WIZ-DOM キャラクター なし ブレイク なし ダークロア キャラクター 0104 フリスビー犬 0317 ブラックドッグ 0528 おいなりさん 0530 メイドウルフ 0815 犬姫 0816 犬っ子アイドル 1114 エランドッグ 1118 ハーフブリード 1395 阿狛 1669 ひょうすべ 1675 ドーベルメイド 1795 守り戌 2109 バンソウコウ狼 PP015 怪力どじっ娘犬耳娘“メローネ・マルシュ” PP064 ワーウルフ ブレイク 0114 狐娘 0330 愛犬 0551 天狼“飯塚 秋緒” 0825 イヌガミ 0827 白狼“フェンリル” 0830 銀狼“フェンリル” 0832 金毛九尾“玉藻ノ前” 0844 銀狼“フェンリル” 0846 金毛九尾“玉藻ノ前” 0996 天狼“飯塚 秋緒” 1131 冥界の番犬“ガルム” 1406 狐又 1676 スレッド・ドッグ 1679 アルテミスの巫女“アルティア” 1681 アルテミスの化身“アルティア” 1690 アルテミスの化身“アルティア” 1799 リュパン 1802 ストライク・ガーディアン“ルシア・ハイレイン” 1807 ストライク・ガーディアン“ルシア・ハイレイン” 1872 ワーウルフ“流菜” 1875 ワーウルフ“流菜” 極星帝国 キャラクター 1698 クラン・ビースティ 2013 グール ブレイク 0685 ハウンド イレイザー キャラクター 1459 ハイロゥドッグ EP050 G.A.パイロット“ミント・ブラマンシュ” EP106 ルーンエンジェル隊 “ナノナノ・プディング” ブレイク EP056 トリックマスター“ミント・ブラマンシュ” EP112 ファーストエイダー“ナノナノ・プディング” EP117 “合体紋章機”ファーストエイダー“ナノナノ・プディング”
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2513.html
外の気温は肌寒いが、曇りの多い冬の日には珍しく、今日は青い空と太陽が覗いていた。 しかし、寒く強い風はいつもと変わらず、道を歩く人々はコートの中で体を縮ませ、 女の子はスカートをめくられている。スカートの中のおパンチュは色とりどりで、 スタンダートな白、かわいらしいピンク、おしゃれな白と水色の縞模様、子どもっぽい、 だがそれがいいキャラ物おパンチュ、セクシーな黒、変態プレイ中で何も穿いてない 女の子。風でめくれるたびに男の目線はおパンチュのほうにいき、 「さぁ、今日もはりきってお仕事だ!」とやる気がで…… 失礼。ちゃんとした描写をしよう。 泉家では、こなた、かがみ、つかさ、みゆきの四人が、リビングでWiiをしている。 今は、みゆきがヌンチャクコントローラーを握ってプレイしている。 「さぁ、泉さん。術式を開始します!」 「う、うん……」 こなたの用意したゲームは、「カドゥケウスNew Blood」というゲームソフトで、 手術をモチーフにしたゲームだ。 こなたがみゆきを誘った時、みゆきは「わ、私ですか?私はこういうゲームはやったことないのですが……」と、 言っており、いざ始めるとこなたの予想通り「えっと、あれ、あれれ?」と混乱していたが、 手術ゲームということで、みゆきの何かが目覚めたらしく、ゲームを進めていくたびに腕がメキメキ上がり、 今では、登場人物になりきっている。 それどころか、こなたの記録を次々と塗り替えていく。 みゆきのあまりの変貌っぷりに、三人とも苦笑するしかなかった。 現在、みゆきは、不利な状況に陥っている。 胃の手術をしており、全体に出血が起こり、バイタル値が低くなっている。 「みゆきさん、超執刀を使わないと危ないよ!」 「こなちゃん、超執刀って?」 つかさは、手作りチョコクッキーをかじっている。 「超執刀っていうのは、このゲームのシステムで、手術を有利に進めることができる いわゆるデビルメイクライでいう魔人モードかな」 「よけい分からないわよ……」 「みゆきさんが使っているのは男キャラだから、 手術の進行速度を遅く出来るんだよ。まぁ、これを使っちゃったら、 スコアが下がっちゃうのが欠点だけど。あくまでもクリアしたい人向けかな」 かがみは、つかさの焼いたチョコクッキーの大半を食べながら、言った。 「じゃあ、今使っているのが超執刀?」 こなたは画面を見た。 みゆきのリモコンさばきがスピードアップしており、 まるでフェンシング選手が操るフルーレ――正確には、エペ、サーブルの二種類があるが――のように、 力強く、優美な動きで次々と手術箇所を素早く、的確に、治していく。 「いや、超執刀を発動したら、画面の色が変わるんだけど……」 こなたは、もう一度画面とみゆきを交互に見た。 「まさか、ゲームで超執刀を発動しているのではなく、 『みゆきさん自身が超執刀を発動』しているのでは……!? 「ふぅ、少々熱くなってしまいました」 あの後、みゆきのスコアは少々低かったが、「手術要領は大体理解できました」と言い、 再度プレイすると、こなたの記録を軽々と破った。 みゆきは、こなたと比べ、ゲーム慣れしていないせいか、 疲れはじめ、つかさのコーヒーを飲んでいる。 つかさはコーヒーを淹れる際、多少こだわっているらしい。 コーヒー豆はモカを使用しており、ペーパードリップ式で淹れている。 まずは水道水のカルキの匂いをとるために三分間沸騰させる。 沸騰させている間、つかさはカップとドリッパーを湯通しして温めた。 注湯するために、「口先が長くて細いものってない?」とつかさはこなたに尋ねたが、 無かったため仕方なくやかんを使うことにした。 少量ずつお湯を淹れていき、次第に渦を描くように淹れていく。 つかさがコーヒーを淹れている姿は、まるでジャズ喫茶のマスターの奥さんみたいで、 多分、熱心なお客さんならコーヒー一杯のために四時間は店でソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンでも 聴きながら、彼女を見つめて居座っているだろう。 つかさの淹れたコーヒーは、彼女のコーヒーに対する愛情に応えるように、 芸術家が操る筆の動きのような湯気とともに、豊かな香りが部屋全体に行き届いた。 四人は、そんな空気の中で食べるつかさのチョコクッキーをおいしそうに頬張っている。 「しかしまぁ……」 こなたが、呟いた。 「みゆきさんなら、いいお医者さんになれるよ……」 「しかし、これはゲームですから、いくらこのゲームがうまくても、実際の手術では 役に立たないと思いますが……」 「いや、みゆきさんは超執刀が使えるんだから、それを実際の手術に使えば 困難な手術もこなせるって」 「?」 みゆきは、訳が分からなかったのか、首を傾げた。 「ねぇ、こなた」 かがみが、言った。 「テーブルの隅っこにこんなDVD見つけたんだけど」 かがみの手にあるDVDには、黒色のインクで印刷した文字に「かなたの誕生日」と、 書かれてある。 「かなたって、確かこなたのお母さんだよね?以前、アルバム見せてもらった時、 写真の下に名前書いてたじゃない」 かがみはこなたに、DVDを差し出した。 こなたは、それをマジマジと見た。 「う〜ん、こんなの見たことないなぁ」 「じゃぁ、見てみる?」 かがみは、小さな子どもがいたずらを考えたような顔をして、言った。 「そうだね。見てみようか」 「って、いいんかいっ」 「……お母さんが、どんな人かちょっと知りたくてね。今からでも見てみたいんだよ」 こなたは、DVDをケースから取り出し、Wiiの中に入れた。 「待て待て!Wiiで再生出来るのか?」 「ふふふ、かがみんや。私のWiiは他のWiiとは違うのだよ」 ちなみに、実際のWiiでは再生できないので注意しましょう。 多分。 DVDをWiiの中に入れて少し経つと、画面に丸いチョコケーキが映し出された。 二人で食べるのか、小さめに作られており、銀色の小さなアラザンが散りばめられている。 真ん中には、「Happy Birthday KANATA」と書かれたチョコレートが、乗っている。 『……よし、我ながらいい出来だ』 「あ、お父さんの声だ」 『今日はかなたの誕生日だから少しはりきりすぎたな……。 まさか、ケーキ作りがこんなに大変だとはな』 「あ〜、分かる分かる。ケーキ作りって、結構体力使うよ〜」 つかさも、趣味でケーキを作ったりしているのか、そうじろうの気持ちが分かったように頷いた。 そうじろうは、ケーキが見えないように、箱の中に入れて隠した。 『さぁて、後はかなたが帰ってくるだけだな……』 そうじろうは、カメラを自分のほうに写した。 『やっほー、聞こえるかー?』 「聞こえてるよ〜」 こなたが、テレビの前のそうじろうに向けて、おどけた返事をした。 「うわ〜、こなちゃんのお父さんって、結構かっこいいよね〜」 「まぁ、このころから、オタクなんだけどね〜……」 『今日はかなたの誕生日ということで、今日の一日をビデオに撮りたいと思います』 続いてカメラは、玄関のドアの方に向いた。 カメラから分かることは、アパート住まいで、壁には多少の汚れが染み付いているが、 意外に部屋が片付いていることだ。 多分、かなたが定期的に掃除しているからだろう。 みゆきは、羨ましそうに言った。 「それにしても、夫婦で誕生日を祝うというのは、いいものですね」 それに続いて、かがみも呟いた。 「誕生日に、手作りケーキっていうのは、ほんと、こなたの夫婦って、ラブラブよね」 「でも、羨ましいなぁ」 つかさは、かわいらしい犬のような瞳で、画面に見とれた。 「あぁ〜なんだかワクワクするよ」 こなたは、ソワソワと落ち着かないでいる。 若き日の父親の姿、あまり知らない母親の存在。 そんな二人の日常がビデオで見られるとくれば、落ち着いて見るのは不可能だった。 『おっ、足音が聞こえるな。そろそろ帰ってきたか?』 「おぉ……!いよいよかな」 こなたは、まるで告白寸前のカップルを見つめて呟くように言った。 かがみは、みゆきのほうに向いた。 「みゆき、こなたのアルバム見ていた時は、みゆきはいなかったから知らないと思うけど、 こなたのお母さんって、すごいそっくりよ」 「まぁ、それはドキドキしますね」 みゆきは、コーヒーを口に含んだ。 「うんうん。ワクワクするよ〜」 つかさは、リボンがまるで犬の尻尾のように動いている。 テレビから、かちゃっと、玄関のドアを開ける音がする。 そして、声が聞こえた。 『ただいま、お兄ちゃん!』 「ぶううううぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーー!!!!!!」 「わぷっ!」 みゆきは、まるでテッポウウオのように、つかさに向けてコーヒーを吹き出した。 つかさは、コーヒーまみれになって、あまりの熱さにしばらく悶えた。 「「「「お兄ちゃん!?」」」」 いきなりテレビから響いてきたお兄ちゃん発言に、四人は戸惑った。 画面を見ると、そこには、こなたそっくりの顔で、目はタレ目、髪は青くて長く、アホ毛がない。 そして、こなたそっくりの体格。 かがみがアルバムで見たかなたそのものだった。 ただ違うのは、やたら子どもらしいピンクとハートを強調した服と、 背中にはランドセル(リコーダー付)を背負っていることだ。 「ど、どういうこと……?」 こなたは、いきなりのことで、混乱を隠しきれていない。 『お帰り、かなた』 「か、かなたということは……」 かがみは、戸惑いを隠せない様子で、言った。 「あれがこなたの……お母さん……?」 みゆきの口元は、先ほど吐き出したコーヒーが垂れている。 「一体、どういうことなのでしょう……?」 「……もしかして、お父さんとお母さんの小さい頃……?いや、お父さん結構歳いってるっぽいし……」 「と、とりあえず見てみようよ……」 つかさがそう言うと、四人は黙って、ビデオの続きを見た。 『あれ?お兄ちゃん、ビデオなんて撮ってどうしたの?」 かなたが首を傾げながら、カメラを見つめた。 『あぁ、今日はかなたの誕生日だからな。記念にビデオ撮影しておこうと思ってな』 かなたは、純粋無垢な少女のような笑顔を浮かべた。 『え、えぇ〜、恥ずかしいよ、お兄ちゃん』 「こっちが恥ずかしいよ……」 こなたは、自分の母親の『お兄ちゃん』発言に、顔が赤くなっている。 『あのね、あのね、お兄ちゃん』 かなたは、ランドセルからピンク色のかわいらしいリボンを取り出した。 『これね、友達のみきちゃんとゆかりちゃんからもらったんだ♪』 『おぉ〜、よかったなぁ、かなた』 『えへへ……。お兄ちゃん、つけてくれる?』 『ん?別にいいけど、自分でつけれるんじゃないか?』 『ちがうよ〜』 かなたは、四つん這いで、そうじろうのところに近づいた。 『お兄ちゃんにつけてもらいたんだもん☆』 「『もん☆』って……」 かがみは、必死に笑いを堪えている。 「ど、どんだけ〜……」 つかさはどうリアクションをとればいいのか、迷っている。 「こ、これは、あの、その、えーと……」 みゆきも、つかさと同じくオロオロしている。 「お願い、もうやめて……。お母さん……」 こなたは、まるで昔の黒歴史ノートを発掘されたひよりのように、顔を上げられずにいる。 『そうだ、かなた。今日はかなたの誕生日ということで、ケーキを用意したぞ』 そうじろうはそういうと、ケーキの箱を取った。 『わぁ〜チョコケーキだ♪ありがとうお兄ちゃん!』 『あはは……手作りだから、ちょっと変になっちゃったけどな』 『そんなことないよ。私は、お兄ちゃんがわたしのために作ってくれただけでも、 とってもうれしいんだから♪』 知らない人が見たら、兄妹の微笑ましい光景に見えそうだが、 四人はそうじろうとかなたが夫婦で、二人の間に生まれたのがこなたという事実を知っているので、 「ほのぼのする」とはとても言えない。 むしろ、犯罪の匂いがする。 『あ、そうだ。ケーキに立てるロウソクを忘れていたな』 ここにひよりがいれば、「俺の熱くて硬いロウソク……」とでも妄想するだろう。 それはともかく、そうじろうは、カラフルなロウソクが入っている袋から、ロウソクを12本取り出した。 「12本……?」 こなたは、つかさにおそるおそる尋ねた。 「ねぇつかさ。普通誕生日ケーキっていうのは、歳の数だけロウソクを刺すんだよね……?」 「う、うん。普通はそうだけど……」 「でも」 かがみは、患者にあなたは癌ですと宣告するように、言った。 「どうして取り出したロウソクの数が『たったの12本』……?」 四人は、唾を飲み込んだ。 そうじろうがケーキにロウソクを刺し終えると、誕生日に定番の歌を歌った。 『ハッピバースデーかーなたー♪ ハッピバースデートゥーユー♪ ハッピバースデーディアかーなたー♪ ハッピバースデートゥーユー♪』 そこで、そうじろうは一呼吸おいた。 『かなた』 嫌 な 予 感 が す る 『12才のお誕生日、おめでとう〜!!』 四人の間で気まずい沈黙が流れた。 みゆきの手に持っていたコーヒーカップが滑り落ちて、ガチャン、という音が響いた。 一方画面のほうでは、かなたが一生懸命ロウソクの火を消そうと、かわいらしく フーフー息を吹きかけている。 ロウソクの火を消し終えると、そうじろうはナイフでケーキを二つに切って、かなたと分け合った。 『どうだい?味は』 『うん!お兄ちゃんの作ったケーキ、すっごくおいしいよ!』 『はは、喜んでくれてなによりだ』 とてもほのぼのした光景である。 少なくとも、画面の中では。 かなたはケーキを食べ終えると、もじもじし始めた。 『あのね、お兄ちゃん……』 かなたは、まるで本当の妹みたいに、控えめに言った。 『今日はね、お兄ちゃんにも私からプレゼントがあるんだ……♪』 そういいながら、かなたは自分のお腹をさすった。 ま さ か 『お兄ちゃんのね……赤ちゃんが出来たんだ……♪』 ピシッ 四人はまるで、ペルセウスによって首だけになったメデューサが、海の怪物ケイトスを 石に変えたように、凍り付いた。 『……それ、本当か?』 そうじろうは、おそるおそる聞いた。 かなたは、顔を赤らめながら、コクリ、と頷いた。 『や……やったーーー!!ついに、俺たちにも子どもができたーーー!!!!』 そうじろうは、いきなりかなたを抱きしめて、たかいたかいを始めた。 『ちょ、ちょっと、お兄ちゃん。恥ずかしいよぉ……』 『かなた、お兄ちゃんじゃなくて、お父さん、だろ?』 『そ、そうだけど……。でも、しばらくお兄ちゃんはお兄ちゃんでいてほしいの……』 そう言いながら、かなたは頬を染めた。 ほのぼのとして、また、新しい命が一人の母親の中に宿った神秘的な光景。 知らない者が見ればの話だが。 「待てよ……」 かがみは、ようやく口を開いた。 「「「赤ちゃん……!?」」」 三人は一斉に、こなたのほうを見た。 『お兄ちゃん、この子の名前、何にする?』 『実はもうすでに、俺たちにあかちゃんが出来た時のことを考えて、すでに決めてあるんだ』 そうじろうは、一呼吸おいた。 『かなたから一文字とって』 こなたは、まるで死刑宣告でも受ける前の罪人のような気分になった。 『『こなた』だ!』 ……しばらく、四人の間で、空白の時間が過ぎた。 「…………」 こなたは、あまりのショックに口から魂が出ている。 「こ、こなた……あのさぁ……」 かがみは、なんとかこなたを慰めようとしたが、言葉が出ない。 「ど、どんだヴァルサミコ酢〜……」 つかさは、あまりのパニックに言葉が変になっている。 「えぇっと……とりあえず、警察を呼びましょうか?」 みゆきは、携帯を片手に110番をかけようとしている。 その時、玄関のドアが開く音がして、そうじろうがリビングを覗いた。 「お、こなた、それにお客さん。いらっしゃい。なにやってるんだい?」 四人は、のんきそうなそうじろうのほうをゆっくりと振り向いた。 「「「「この……」」」」 四人は、腰を思いっきり捻り、右のストレートを放つ構えをとった。 「「「「ロリコぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーん!!!!!!」」」」 ドゴーーン!! そうじろうは、少女四人の右ストレートの洗礼を受け、廊下の壁に叩きつけられた。 「……全く!ほんっっっっっっっとうに人騒がせなんだから!!!!」 「本当に警察を呼ぶとこだったわ……」 「すごいびっくりしちゃったよ〜」 「私もです……」 「すひまふぇん」 そうじろうは、まるでプロボクサー選手の試合の後のように、見事に顔が腫れ上がっている。 ビデオの真相は、かなたが生きていたころ、 そうじろうが『ドッキリビデオを撮りたい』と言いだし、撮影したそうだ。 ちなみに、この撮影の後、かなたは『私はそうくんと同じ歳です!!』と言って、機嫌が直るのに 時間がかかったらしい。 「っていうかお父さん」 こなたは、言った。 「あのランドセルと服、どっから持ってきたのさ」 「ん?あぁ、あれは、かなたの小学生のころのランドセルだ。 んで、服もかなたが子どもの頃に着ていたものだ」 「……成長してないんですかい」 遺伝だ、とこなたは思った。 「……あぁ、でも一つ、本当のことがある」 「……なに?」 こなたは、どうでもいいような気の抜けた返事をした。 「……あの後に出来たのが、こなたです☆ な〜んちゃってな」 そうじろうは、テヘッと舌をペロリと出した。 しかし、四人からは「ゴゴゴゴゴ……」という効果音が出ている(ような気がする)。 「あ、あの〜……?みなさん……?」 「「「「いっぺん……!」」」」 四人は、いっせいに膝を折り曲げた。 「「「「死んでこぉぉぉぉーーーーい!!!!」」」」 ドゴォォォォォーーーーーン!!!! 少女たちは、美しく鋭い蹴りを放ち、そうじろうは空高く飛ばされた。 そして、ギャグマンガで悪役が吹っ飛ばされたように、キラン、と夜空が光った。 ……その後、そうじろうはボロボロの状態で帰ってきたそうだ。 コメントフォーム 名前 コメント ツンデレかなたさんナイス! てかつかさは殴る蹴るしないんじゃ? こなた-親だから かがみ-嫁の親だから 黒みwikiさん-常識人として許せないから つかさ-? -- 白夜 (2010-02-22 00 36 11) 小学生のかなたさんみてみたい -- 空我 (2010-01-23 01 02 48) いや、偶然一緒の名前の友達がいただけ、という設定かもしれんぞ? (突然オリジナルキャラ名を出すぐらいなら、という発想だろうけど) -- 名無しさん (2009-05-21 01 00 08) みきさんの年齢は47以上、かなたと同い年っぽいそうじろうが40ぐらい。 となると近所のお姉さんみたいなポジションだったのかね?>みき -- 名無しさん (2009-05-20 21 02 14) あれ?みきさん、ゆかりさんと面識あったんですか? そうか・・・これが伝説の「まま☆すた」か・・・ -- 名無しさん (2009-05-12 00 01 37) 一瞬そうじろうを疑った -- 名無しさん (2009-05-10 22 36 22) 不覚 -- 名無しさん (2009-05-07 22 00 48) しかししっかりと要望に応えてみせたかなたさんは隠れツンデレと見たw -- 名無しさん (2009-05-06 20 50 52) gj -- 名無しさん (2009-05-05 21 10 09)
https://w.atwiki.jp/el900m/pages/68.html
なかばさん誕生日記念SS もうすぐノブヒロ先輩の誕生日- (とはいえ年金と金魚の売上だけじゃ贅沢にするのは正直キツイし、大体そういうの喜びそうじゃないしな…) などと考えてるうちにふと急にある約束を達成してなかったような記憶がおぼろげによみがえってきた。 (この先ますますできなくなるだろうし、これが最後のチャンスかも知れない。全部は無理でも少しだけでも…) そう思い一人レッスンを始めて3日後。 「あいたっ!」 ぎっくり腰になってしまい先輩に看病される羽目になってしまった。 「…すまん。迷惑かけるな。」 「いいんじゃよ。こうやってヒデちゃんの看病できるのは嬉しいんじゃ。思い出せなかったらこうやって看病もできなかったんじゃから。」 「そういってくれると有難いが、これじゃあ何の為にレッスンしたのがわからなくなるってのがな。」 「レッスンって?一体何をしてこんな風になったんじゃ?」 「昔さ、俺、先輩の為に踊るって約束したことある気がしたんだ。でもその前に事故を起こしてその約束のことも忘れちまってたから。 ほら先輩、もうすぐ誕生日だろ?けど、なんにもしてやれないからせめてダンス見せてやれればって思ってな。 でもやっぱりダメだった。もうこんな年だしな。20年くらい前に思い出して先輩のこと探せてたらまだ出来たかもしれないのに。本当にごめんな。」 「…ううん。謝る必要ないんじゃよ。ワシはヒデちゃんが誕生日覚えててくれてたのも嬉しいし、ワシの為に何かしようと思ってくれただけでもっと嬉しいのじゃよ。 ヒデちゃん…ありがとう。」 そういってにっこりと笑った先輩の顔がゆっくりと近づいてきて軽く口付けされて。 「…ありがとう。俺すげえ嬉しい。ノブヒロ先輩のこと大好きだよ。…お誕生日おめでとう」 (なんだか俺のほうがプレゼントもらったみたいだが…まあいいか。腰が治ったら返すってことで) てなわけでnakabaさんお誕生日おめでとうございます。 今年1年よい年でありますように。
https://w.atwiki.jp/dinametamo/pages/2468.html
りぞーとわんぴ(みんと) 入手法/作り方 向日葵のワンピース+緑の大きなリボン、熱する、かなり リゾートドレス(ミント)、わける、1日 作成アイテム 上トレイ 下トレイ 方法 時間 SUCCESS FAIL GREAT 猶予 リゾートワンピ(ミント) 裁ち鋏 まぜる ちょっと スタードレス 腐ったリゾートワンピ(ミント) GREAT リゾートワンピ(ミント) - わける 1日 リゾートミニ(ミント) 腐ったFAIL GREAT リゾートワンピ(ミント) 黒の付け袖 まぜる ちょっと ピンクのパーティードレス 腐ったリゾートワンピ(ミント) GREAT リゾートワンピ(ミント) 豪華なレース飾り まぜる ちょっと エレガンスワンピ(ミント) 腐ったFAIL GREAT リゾートワンピ(ミント) パフスリーブ まぜる ちょっと スプリングワンピ(ミント) 腐ったリゾートワンピ(ミント) GREAT リゾートワンピ(ミント) レースの袖飾り まぜる ちょっと クラシカルワンピ(ミント) 腐ったリゾートワンピ(ミント) GREAT 腐り復活 上トレイ 下トレイ 方法 時間 SUCCESS FAIL GREAT 猶予 腐ったリゾートワンピ(ミント) - わける ちょっと サンドレス × GREAT 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/1975.html
「誕生日か・・・去年は気にもしなかったな、とすると俺は25か?」 本当に今日で24歳だと思っていたレイヴン、しかしレイヴンにとって誕生日など 老化による衰えを杞憂するだけの日なのかも知れない。 「子供の頃はなんていってたっけな・・・クレストでゲーム作るのが夢だったか?」 彼は今、違う形でクレストに従事している、クレスト専属レイヴンだ。 「まあ、こうしてACを繰るのは楽しいがね・・・命のやり取りでなかったらの話だが・・・」 ゲームを作りたいと思ったのは、彼自身がゲーマーだったからである。 その甲斐あってか、彼はレイヴンとしてめきめき頭角を現していった。 「自分の作ったもので、笑顔になる人たちが見たい、そんな願いだった気がするな・・・」 彼の仕事は多くの犠牲で一部の人間が笑う仕事である、理想と現実に彼の心は揺れていた。 「レイヴン・・・やめようかな・・・」 彼が今の仕事を続けるているのは、端的に言ってしまうと食事に不自由しないため。 そう思うとレイヴンである必要性がどこにも感じられない、そう思えた。 その後、彼の意思でははなかったが、彼はレイヴンをやめた。 戦闘中にACが中破し、一命は取り留めたが脚を負傷、彼はレイヴンを続けることができなくなったのだ。 彼はレイヴンであった頃よりずっと貧しい生活を送っている。 しかし彼は常々こう言っていたという。 「こっちの方が性に合ってるからな、人の笑顔は多いほうがいい。」 彼は今、MTの技術を応用した、義手や義足の開発にいそしんでいる。
https://w.atwiki.jp/comic8/pages/3789.html
ミントな僕らをお気に入りに追加 情報1課 <ミントな僕ら> #bf 外部リンク課 <ミントな僕ら> ウィキペディア(Wikipedia) - ミントな僕ら Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <ミントな僕ら> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <ミントな僕ら> #blogsearch2 成分解析課 <ミントな僕ら> ミントな僕らの49%は乙女心で出来ています。ミントな僕らの38%は運で出来ています。ミントな僕らの9%は世の無常さで出来ています。ミントな僕らの2%は回路で出来ています。ミントな僕らの1%は情報で出来ています。ミントな僕らの1%は毒物で出来ています。 報道課 <ミントな僕ら> 【consado ライヴレポート】『consado 5th onemanlive ~do民に感謝を込めて~』2021年11月21日 at Yokohama mint hall(OKMusic) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「花より男子」「ママレード・ボーイ」のアニメを知ってる? ニチアサ・美少女戦隊枠は、トレンディ少女マンガ枠だった!(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 歴代りぼんで一番好きな漫画、3位『ママレード・ボーイ』!『神風怪盗ジャンヌ』『天使なんかじゃない』は何位? (2021年10月21日) - エキサイトニュース 歴代りぼんおすすめ漫画人気ランキングベスト59!【500人にアンケート調査】:時事ドットコム - 時事通信 「キャラメル シナモン ポップコーン」吉住渉さんインタビュー 大学生で漫画家デビュー「楽しければ何でもアリ」の37年|好書好日 - 好書好日 仲良し(?)双子のドキドキ寮生活!『ミントな僕ら』【ラブきゅん 寮生活特集】 - DailyMORE (株式会社集英社) 「ミントな僕ら」も「ハンサムな彼女」も!吉住渉作品10タイトルが一部無料に - コミックナタリー シスコン男子が女子寮に潜入!『ミントな僕ら』【性別が!?人格が!?"チェンジ"しちゃう、オススメ少女マンガ】 - 株式会社集英社 情報3課 <ミントな僕ら> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ ミントな僕ら このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/saikyousyujinnkou3/pages/323.html
【作品名】グリフォン 【ジャンル】ゲームギアのゲーム 【名前】ミントwithグリフォン 【属性】少女が乗った戦車 【大きさ】一般的な戦車と同じサイズ(一般的な戦車の車体長を参考にすると一辺あたり7m程か) ) 【攻撃力】砲弾:10m程の爆発の中で無傷な戦車を粉々に一撃で破壊できる 射程42m、弾速は戦車砲の2倍、何発でも発射できるで弾切れ無し 【防御力】10m程の爆発の中で無傷 【素早さ】戦車砲が1m先まで迫ってから避けられる 戦車砲と同速で移動できる 【短所】新型戦車グリフォンのテスト中にさらわれた開発者小林技官を救うべく孫娘ミントがグリフォンで敵国にカチコミをかける 参戦 vol.131 378 459 格無しさん 2021/02/23 01 52 18 ミントwithグリフォン ×ビヨンド・ザ・グレイヴ(ゲーム)全方位攻撃負け ×主人公(S.P.Y.Special,Project,Y)全方位攻撃負け △二足歩行戦車 倒せないが倒されない △マリオ(NEWスーパーマリオブラザーズ ) 倒せないが倒されない △マリオ(スーパーマリオ3Dワールド)倒せないが倒されない △焔 倒せないが倒されない △ランスwithロボッ子・R-10 倒せないが倒されない 〇マリオ(スーパーマリオ3Dランド) 先手で攻撃して勝ち 〇警察の中で凶暴な女性 素早さ同等、攻防でうわ待ってて勝ち 〇ラルフwith戦車 先手で攻撃して勝ち ランスwithロボッ子・R-10と=
https://w.atwiki.jp/yokatamono/pages/166.html
焼酎の生ミント割り 953 :可愛い奥様:2005/06/27(月) 09 52 04 ID xXmP0Su1 焼酎の生ミント割り。 生のミントの葉(うちではスペアミント)をすりこぎとかで適当につぶして、 焼酎+氷+水。 喉越しの清涼感がいい上に二日酔いもない(気がする) 元々ラムと生ミントのカクテルを旦那がよそで飲んでそれが美味しかったそうで、 ミントを鉢に植えてみたんだけど、ラム酒をまだ用意してなくて、 うちにあった焼酎で生ミントを試してみたのがきっかけ。 水割りでなくても、ソーダとかでもいいかも。 964 :可愛い奥様:2005/06/27(月) 21 17 48 ID CpmBxssu 953 それおいしそう! ミント味のカクテルって、「モヒート」かな? それだったら大好きなので焼酎も試してみようかな? 965 :可愛い奥様:2005/06/27(月) 22 55 18 ID /awXiPE2 953 ミントが生い茂ってる家に住んでる、酒飲みの私に、 とっておき情報をアリガ㌧ part1 http //human5.2ch.net/test/read.cgi/ms/1109415244/
https://w.atwiki.jp/ao-ohanashi/pages/834.html
蒼「あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど・・・いい?」 蒼星石が言いにくそうに尋ねてくる。 もう一人の自分と言っても過言でない彼女の頼みを何故断れようか。 二つ返事で快諾する。 翠「いいですよ。なんでも言ってください。」 蒼「本当に?」 翠「もちろん!翠星石は蒼星石の双子の姉ですよ? なんならローザミスティカだってくれてやります。」 蒼「それはいいけど・・・あのね?」 翠「うん。うん。」 あくまでも遠慮する可愛らしい蒼星石に先を促す。 蒼「実はさ、今度マスターの誕生日なんだけど・・・」 翠「ひぇっ!?」 素っ頓狂な声を出してしまった。 蒼「・・・どうしたの?」 翠「あ、気にせず先を続けてください。」 正直言ってあの人間絡みだと素直に受け入れられない。 確かに人間にしては蒼星石を大事にしてよくやっている方だと思う。 だがしかし、『自分が一番よく蒼星石を理解しているんだ!』とも思う。 やはり蒼星石の一番は自分でありたい。 自分ですら蒼星石に誕生日を祝ってもらった事はないというのに・・・まあ当然だが。 蒼「・・・という訳なんだ。」 翠「そうですか。」 蒼「やっぱりダメ?だけど他にこんな事を頼める人もいないし。」 不安げな蒼星石。 あの人間への対抗心で蒼星石を悲しませたら本末転倒というものだ。 悔しいがあの人間が自分に関する事で蒼星石の意思をないがしろにした事は無い。 翠「当然構いませんよ。大船に乗ったつもりでいやがれですっ!」 自分の胸をドンと叩きながらそう言う外に無かった。 蒼「ありがとう。やっぱり翠星石に相談して良かったよ。」 嬉しそうに微笑む蒼星石。 しかしその笑顔は本当に自分に対してだけ向けられたものなのだろうか? あの人間を喜ばせられるという嬉しさもあるのではないだろうか? そう考えると、ちょっとだけ複雑だった。 ○そして当日○ マ「もうすぐおやつの時間だー。今日は何にしようかな♪」 翠「やいそこの意地汚そうな人間。」 マ「今日はまた出会い頭からひどい言われ様だね。」 翠「ちょっとこっちゃ来いです。」 どんくさく固まっている人間の手を引っ張って鏡の前に連れてく。 マ「あれ、蒼星石はいいの?」 翠「いいから来いです。」 そのままnのフィールドを経由してジュンの家へ。 そして例の場所へと手を引いて誘導する。 マ「一体どうしたの・・・」 『おめでとーう!!』 パーンとクラッカーが鳴る。 マ「これは?」 真「翠星石が今日はあなたの誕生日だって言うから。」 金「日頃の感謝を込めてかしら!」 雛「いつもありがとなのー!」 ジ「いつもこいつらがすみません。」 の「さ、簡単にですが料理用意してあるから食べてください。」 翠「翠星石はケーキを焼いてやったです。」 マ「おお・・・ありがとう、ありがとう。」 翠「こら!湿っぽい雰囲気に変えるなです。さあさあ、ガンガン貪りやがれです!」 いい年してこのぐらいの事で涙ぐまないで欲しい。 そんなに素直に感動されたら罪悪感でやりにくくなってしまう。 そう、他の連中が知らない自分だけの特別なプランがあるのだ。 席について皆が料理を分ける。 いただきますをしたが誰も手を付けない。 こういう場合は主賓が最初に手を付けるのを待つのがマナーというものだ。 あのチビ苺とバカナリアでさえも理解していると言うのにコイツと来たら気の利かない・・・。 の「あのー、召し上がらないんですか?」 マ「いや・・・でも蒼星石に悪いかなって。」 蒼星石がこの場にいない事に気を揉んでいたらしい。 はた迷惑ではあるがその姿勢はちょっとだけ評価してやってもいい。 真紅がはぁとため息をつく。 真「いいこと?何故こんな時間にわざわざこっそりとしてると思う?」 マ「え?」 真「気を利かせてあげてるのよ。あの子とは今夜ゆっくりお祝いしなさい。」 金「今夜はお楽しみかしら!」 マ「お楽しみって・・・。」 雛「蒼星石がマスターさんと、んーなの!」 金「二人でんーってしちゃうかしら!」 二人が目をつぶって唇を突き出した格好で冷やかす。 マ「ないない、そんなのないってば!!」 真っ赤な顔で両手を振って否定する。 要するにそんな不埒な感情を抱いた事があるということだ。 いや、ひょっとしたらもう既に実行済みなのかもしれない。 二人の様子から察するに蒼星石も求めに応えそうだ・・・本当に小憎らしい人間だ。 翠「ほれ、話ばっかしてないでとっととモリモリ食えです。 この場ではお前が主役なんですよ?」 そんな穏やかならぬ内心を悟られないように注意しつつ食事を勧める。 このままではせっかくの計画が台無しだ。 マ「いや皆も食べなよ。もう残り少ないしさ。」 翠「大丈夫です。まだまだ沢山ありますから。」 金「プレゼントを買うお金は無いから、代わりにお料理を作ったの。」 真「さあみんなで食べましょう。」 一同が自分の作った物を出す。 マ「みんなで用意してくれたんだ。本当にありがとう。」 また感極まった感じになる。 純粋というか、素直というか、いちいちやりにくい。 金「まずはカナ謹製の卵焼きかしら。」 マ「どれどれ、いただきまーす。・・・うぐぅ!」 翠「これは・・・」 雛「あまーーい!」 金「通常の3倍のお砂糖を入れちゃったかしら。」 真「食べなければどうという事はないのだわ。」 雛「とってもおいしいのー。カナすごいのー!」 翠「しゃあないから翠星石の分もくれてやります。感謝しろです。」 とりあえず自分の残りをチビ苺に押し付ける。 マ「甘い卵焼きも美味しいよね、うん。」 甘さにも限度があろうに、コイツはそう言いながら自分の分をあっさり平らげた。 雛「お次はヒナ!」 マ「これは何?」 雛「シュークリームよ♪」 マ「じゃあいただきます。」 翠「今度は真紅も食えです。」 真「分かったわよ。」 一同がシュークリームを口に入れる。 雛「どう?」 マ「・・・・・・ごふっ!」 金「お、お茶を頂戴かしらーー!!」 の「はーい。」 翠「ありがとです。」 真「この際・・・緑茶でもいいから早く渡しなさい。」 全員が受け取ったお茶を飲み干す。 雛「美味しかった?」 真「あなた、シュークリームって言ったわよね?」 雛「うん。」 金「どこがかしら!」 翠「あれじゃあシュー『ジャム』です!」 雛「うー・・・味見したらうまく出来たと思ったのー・・・。」 雛苺の舌は苺ジャムなら何でもいいのだろうか。謎だ。 そう言えばさっきの卵焼きにも満足していたから単に甘い物が好きなだけかもしれない。 まったくお子様達はこれだから困る。 マ「独創的だし面白かったよ。ありがとう。」 雛「美味しかった?」 マ「こんな物を作ってもらえる自分は特別な存在だと思いました。」 雛「えへへ、どういたしましてなの。」 オリジナリティの無い台詞を言いつつデカイお子様がそう言った。 真「じゃあ次は私の番ね。」 真紅が砂利の詰まったビニール袋、にでも見えかねない物を置く。 真「私からはクッキ・・・」 金「あっ!そういえば、みっちゃん達からもプレゼントがあったかしら。 あやうく渡すのを忘れちゃうところだったかしら!!」 わざとらしく叫んで金糸雀が紙袋を渡す。 マ「ありがとう。これは何?」 金「服よ。」 マ「服?」 金「みっちゃんがプロデュースしたかしら。」 雛「ジュンとトモエも協力して作ったのよ。」 マ「へえありがとう。僕の服?それとも蒼星石用?」 金「ペアルックよ。」 マ「・・・ペア?」 金「今度着たところを写真に撮らせてって言ってたかしら。」 マ「はは・・・着たらね。」 流石に他人に見せるのは気が進まないのだろう、そう流して紙袋をテーブルの下にそっと置く。 マ「でもサイズは合うのかな?」 金「大丈夫よ、みっちゃんは私達のも、あなたのも、みーんなの身長やスリーサイズを知ってるかしら!」 マ「なぜ本人も知らない個人情報をみっちゃんさんが・・・。」 金「見ただけでスリーサイズやらの寸法を当てるのがみっちゃんの隠された特技かしら。」 恐るべき人間だ。まるで伝説の餓狼のようだ。 真「あなた達、いつまでくだらない話をしているの。」 金「みっちゃんのプレゼントにケチつけないで欲しいかしら。」 真「プレゼントはもう渡したでしょ!だから私のプレゼントのクッキーを・・・」 雛「これってクッキーだったの?」 ジャム娘の雛苺が残酷な事を尋ねた。 真「・・・クッキーよ。」 雛「カチカチで石みたいなのー。」 勝手に袋を開けた雛苺が率直過ぎる感想を述べる。 マ「チョコクッキーか、チョコ味は大好きだよ。」 真「チョコもココアパウダーも入れてないわ。」 一同が『うわぁ・・・』といった表情で沈黙する。 真「・・・・・・もういいわよ!これは捨てるから。」 その空気を察してか真紅がヒステリックに袋を奪い返す。 マ「捨てちゃうんなら独り占めしちゃおっかな。」 そう言って袋をひょいと取り上げた。 クッキーと呼ばれた物体を口に放り込む。 真紅も含めた一同が固唾を呑んで次の反応を待つ。 マ「・・・硬い、ゴリゴリする。」 真「だから捨てればいいって言ったでしょ!」 マ「でも歯ごたえがあっていいと思うよ。」 翠「どれ、じゃあ翠星石にも一枚・・・。」 脇から袋に手を突っ込むと一枚頂戴して口に入れる。 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」 ・・・ありえない! 砂糖が入っているはずなのに甘みは無く、焦げた苦味だけが口に広がる。 さっきまで甘い物のオンパレードだったのもあって落差がひどい。 翠「ひ、一人でこれだけの物を作り上げるとは驚きましたよ。 し、真紅もだいぶ腕を上げましたよね、あっぱれですぅ。」 なんとかそれだけ口にした。 そこに袋が差し出される。 マ「もう一枚食べる?」 翠「いや、お前へのプレゼントだからお前が食べろです。」 マ「そうだね、そうするよ。」 ニコニコしたままでそう言った。 こいつは食べられればなんでも良いのだろうか? やはりこんな貧乏舌の人間には蒼星石の手料理はもったいない。 マ「じゃあ・・・せっかくだから貰っちゃおうかな。」 クッキーとも呼べない物にさらに手を伸ばす。 よく見ると額に脂汗がにじんでいた。 どうやら本心から美味しいと思っているわけでもないようだ。 恐らくは真紅を傷つけまいという優しさからムチャしているのだろう。 そう言えばさっきから貰った物にはケチをつけず、残らないようにしている。 こいつも他人の想いを蔑ろに出来ないタイプなのだ。 そういうところは誰かに似ている。 真「無理しないでもいいのよ。」 マ「無理してないよ。真紅が作ってくれたんだって感じがしてありがたいよ。 それに・・・やさしい・・・味がす・・・る・・・。」 次第に限界が近づいてきているようにも見える。 同情に値する悲惨な状態ではあるが、ある意味好都合でもある。 真「・・・そう。」 そんな様子に気付いてか気付かなくてか、真紅が嬉しそうに笑った。 マ「・・・ご馳走様。」 大分時間をかけてようやく『クッキー』が消費された。 金「すごいかしら!」 マ「おいし・・・かったよ。」 雛「・・・やさしいのね。」 真「どういう意味よ!でも・・・ありがとう。」 マ「こちらこそクッキーを作ってくれてありがとう。大変だったでしょ?」 真「悪戦苦闘はしたわね。感謝なさい。」 マ「はいはい。」 翠「さーて、じゃあ真打の登場ですかね。」 そう言って自分の計画のために作った物を持ってくる。 マ「すごいっ!」 金「お見事かしら!」 真「くっ・・・。」 雛「おいしそー!」 そびえるばかりの特大ケーキ。 人間のサイズにしてもかなりの量のはずだ。 味の方には自信がある。 何しろ食べてもらわねば困るのだから手は抜いていない。 ジ「お前ってすごいな。」 の「とってもお上手よー。」 翠「ふふん、もっと誉めてもいいですよ?」 ジ「いやー、お前がこんな風に頑張るとはね。よほど大事な存在なんだな。」 いきなり変なことを言い出すジュンに動揺する。 翠「な、何をおバカな!」 ジ「隠すなよ、蒼星石のことでいろいろと感謝してるんだろ? お前って本当に素直に好意を表せないよな。」 マ「・・・・・・。」 翠「勝手に決めるなですっ!」 やはり同意はしかねるもののちょっとだけホッとした。 同情するかのような微妙な表情でこちらを見る人間が腹立たしい。 雛「翠星石お話が長いのー。」 金「早く食べたいかしら!」 翠「分かりましたよ、今切ってやりますから待てです。」 ケーキを切って一同に取り分ける。 翠「ほれ、お前の分ですよ。」 マ「こんなに?皆の分は?」 翠「ちゃんと残してありますよ。お前の誕生日なんだから気にするなです。」 ジ「僕はちょっとでいいや。お腹にたまってきたし味見だけさせてもらえれば。」 の「私も。甘い物を食べ過ぎると怖いしちょっと控えておこうかな。」 計算通りに他のメンバーは少しずつ脱落していく。 真「おいしかったわ、私もご馳走様。」 雛「ヒナももう一回だけ貰ったら終わりにするわ。おっきな苺ちょうだいなの!」 金「カナは・・・もうリタイアかしら。」 まだケーキは結構な量が残っている。 そうなるように作ったのだ。 翠「お前はまだ食べますよね?」 言わなくても全部食べるであろうが念を押す。 マ「うーん・・・。」 翠「せっかく翠星石が作ってやった自信作ですよ?」 どうやらあまり気が進まないようだ。 それはそうだろう、さっきまであれだけ甘い物やら胃に悪そうな物やらを食べていたのだ。 それでいい、これが望んでいた展開なのだから。 このままこいつにたらふく食べさせておけば夕食はまともに食べられない。 当然ながら頑張って料理を用意していた蒼星石はショックを受ける。 そこを自分が慰めつつ一緒に美味しい手料理もいただく。 これでこいつの株を下げつつ自分の株を上げられる訳である。 楽しい夕食の時間も過ごせて一石三鳥な訳だ。 我ながら恐ろしい策士ぶりだ。 翠「まさか翠星石のだけ食べられないと言うんじゃないですよね?」 マ「いや、それは平気だけどさ、蒼星石にお土産に持って帰ろうかと思ってさ。」 翠「え?」 その言葉にぎくりとする。 マ「自分ばかり悪い気もするし、それにせっかく美味しく出来てるんだからね。 翠星石のお手製なら蒼星石にも食べさせてあげたら喜ぶんじゃないかな。」 翠「い、い、いや、それはやめておけです。」 蒼星石が自分にこいつを連れ出せと頼んできたのはこっそり料理の支度をするためだ。 それなのに翠星石がやった事のせいでその手料理を美味しく味わってもらえなかったと分かったら信頼を損ねてしまう。 場合によっては先程のジュンのように邪推して出し抜かれたと誤解するかもしれない。 とにかくこの集まりの事を蒼星石に知られてはならない。 マ「なんで?すっごく美味しくできてるじゃない。」 翠「いいですか、考えてもみろです。お前は蒼星石にとって特別な存在ですよね?」 マ「まあ・・・そうだったら嬉しいな。」 翠「で、そんなお前を喜ばせたい一心で蒼星石は今頃一所懸命準備しているはずです。 きっと自分が一番乗りで、自分だけがお祝いしてあげたと思ったほうが喜ぶはずです。」 蒼星石に嫌われないためとは言えこんな事を言わねばならないとは・・・。 しかし今は気乗りしないコイツに食べる気を起こさせるのが最優先だ。 マ「そうかなあ?」 翠「そうですとも!蒼星石の双子の姉が言うんだから間違いないです。 私達も世話になってるから一応お祝いさせてもらいましたがこの事は秘密にしておけですよ?」 マ「・・・うん、分かった。」 翠「じゃあ翠星石も半分食べてやりますから片付けますよ、決定ですっ!」 マ「了解です。」 成り行きで自分も食べる事になってしまったがどうやら丸め込めたようだ。 マ「あー美味しかった。」 翠「やっと・・・片付きましたね。」 先程の言葉通りに二人掛かりで残ったケーキを片付けた。 ちょっと作りすぎたかと後悔を覚えた。 時計を見る。 ケーキを食べるのに時間も食ってしまいもう蒼星石との約束の時間だ。 翠「さあ行きますよ。」 マ「どこへ?」 翠「おまえんちです。」 マ「じゃあ皆にさよならしなきゃ。」 翠「全員事情は知ってるから必要ないです。急げですっ!」 ねむっちまいそうなのろい動きの人間の手を来た時と同じ様に引っ張る。 翠「いいですか、蒼星石がいろいろと用意してくれてるはずですがお前はそれを知らない。」 マ「うん。」 翠「それとちょっとばかし大袈裟に喜んでやれです。」 マ「そうするよ。」 翠「あとさっきの飲み食いのことは秘密。約束ですよ、いいですね?」 マ「うん、約束する。」 そんな事を言い含めていたら到着した。 蒼「あ、お帰りなさい。」 もう準備は終わっていたのだろう、鏡の前で待っていた蒼星石が満面の笑みで出迎えた。 マ「ただいま。ごめんね、何も言わずに遅くなって。」 蒼「別にいいんだよ。何してたの?」 マ「翠星石に引っ張り出されて雛苺や金糸雀達と遊んでたんだ。」 翠「そんな感じですね。子守のお手伝いをさせてました。」 蒼「ふうん。じゃあお夕飯にしようか。」 ウキウキした感じの蒼星石は疑いも持たずに食卓へと向かう。 マ「うわ!!!!」 蒼「驚いた?」 マ「すごいご馳走だね。」 テーブルの上にいろいろな料理が並ぶ。 蒼「今日はマスターの誕生日だからね、頑張っちゃったよ。」 マ「ありがとう!とっても嬉しいよ!!」 お礼を言いながら蒼星石に抱きついた。 蒼星石もまんざらではなさそうで喜んでいる。 普段ならぶっ飛ばしてやりたいところだが、さっき大袈裟に喜べといった手前そうもいかない。 それにコイツはこの後で料理を食べられずにリタイアするのだ。 今は平常心でじっと我慢の子だ。 蒼「うふふ、マスターをビックリさせたくってさ、翠星石に頼んだんだよ。」 マ「なるほどね。」 翠「どういたしましてです。」 屈託なく喜ぶ蒼星石を見ていると後ろめたさを覚えてしまう。 蒼「それでさ、お礼になるかは分からないけど翠星石の分も用意したんだ。 お夕飯を一緒に食べていかないかい?」 翠「えっ?」 蒼「やっぱりさ、マスターも大事だけど翠星石も大事だし。 二人で過ごしたい気もするけれど、大切な人たち皆で過ごせたらなって。」 マ「そうだね、せっかくだから賑やかな方がいいよ。 なんなら今から電話して遅くなるって言えば大丈夫でしょ。」 促されて食卓に着く。 目の前には美味しそうな料理。 蒼星石が心を込めて作ったのだから当然だ。 だがしかし・・・ 蒼「翠星石、ほとんど食べてないね。あまりうまく出来てなかった?」 しばらくして蒼星石が不安そうに聞いてくる。 無論、味が悪いのではない。 あいにく食欲があまり無いのだ。 さっきあれだけ甘い物を食べたので流石にもたれる感じがある。 ドールの自分でもこうなのだから人間はもっと・・・ マ「美味しいよ、ありがとう!」 蒼「どれが一番美味しい?マスターの好きな物を作ったつもりだけど。」 マ「どれも美味しくって一番なんて決められないよ。」 蒼「やだなあ。」 二人とも笑顔で会話が弾んでいる。 そんな話をしながらむしゃむしゃと食べている。 あっという間に山盛りだったはずのご飯が空になってしまった。 蒼「お替わりあるよ?」 マ「じゃあちょうだい♪」 蒼「翠星石もどうだい?」 翠「遠慮しておきますよ。」 自分はお替わりどころか一杯目がまだ大して減っていない。 お茶碗を持って蒼星石の姿が消える。 マ「翠星石小食だね。ダイエット?」 翠「ドールにゃ健康も肥満も何にも無いですよ。 それよりもお前もあれだけお菓子を食べておいてよくバクバク食べられますね。 どんな非常識なお腹をしてるんですか?」 ドールの自分でさえ食欲が失せているというのにコイツは一体何を考えているのだろう。 マ「えー、だって甘い物って別腹じゃん。」 うるさい黙れ。 おかしいのはお腹ではなく頭だったようだ。 コイツは何も考えていない。 きっと頭の中にはプリンかムースでも詰まっているのだろう。 蒼「はい、お替わりだよ。」 マ「わー、ありがとう♪」 蒼「ちょっとよそいすぎたかな?」 マ「平気平気、美味しいから底無しに食べられるって。」 蒼「ふふっ、そう?でも食べ過ぎないでね。」 マ「はーい。」 そう言って非常識な人間が非常識なペースで食べ始めた。 そのまま呆れて見ていると出された料理を食べ尽くしてしまった。 蒼「食後のデザートにケーキもあるよ。翠星石みたいにお菓子作りは得意じゃないけど。」 翠「ケーキですか?」 蒼「うん、レアヨーグルトケーキ。最初はベイクドにするつもりだったんだけどね。 チーズケーキはレアチーズの方が好きだったの思い出して変えたんだ。 調べたら数時間冷やさなきゃいけないから最初からは用意できなくなっちゃったんだけどさ。」 マ「楽しみだなー、きっと美味しいんだろうなー。」 蒼「でもあんなに食べたからきついかな?誕生日ケーキだし先に出せれば良かったんだけどね。」 マ「平気平気、甘い物は別腹って言うじゃない。」 蒼「ふふっ、そうかもね。」 お前は四つの胃を持つ牛人間か。 その別腹はもう使ったんじゃないのか。 まず男が別腹別腹と言うな。 翠「・・・翠星石はもう帰りますよ。」 幸せそうな二人を見ていたらなんだかアホらしくなってきた。 蒼「あれ、翠星石もケーキ食べなよ。」 翠「いいですよ、作ってやった相手にくれてやれです。」 そのまま席を立って鏡へ向かう。 蒼「待って、じゃあお土産に・・・。」 翠「味見はまたの機会でいいです。後は二人でゆっくりやってくれです。」 鏡の中に入ったあたりで後ろから声を掛けられた。 マ「翠星石、今日はいろいろとありがとうね。」 蒼「本当にありがとう。いい姉を持って幸せだよ。」 いろいろと、か。 自分はそんな礼を言われるような事はしていない。 変に嫉妬して邪魔をしようとした自分が恥ずかしくなってそれには応えずに去る。 マ「わーい、ロウソク、ロウソクー♪」 蒼「あ、あのさ・・・せっかく翠星石が気を利かせてくれたんだし、この後は・・・」 終わりの方は聞こえなかったがそんな言葉が聞こえた。 まあ・・・好きにしてくれればいい。 蒼星石が望むのなら自分が口を挟む事ではないのだから。 鞄に入り眠りに就く。 かつての記憶が紡ぎ出される。 蒼星石との楽しい日々。 自分が一番の理解者であり、自分の一番の理解者だったはずの彼女。 ・・・彼女は変わった。 少なくともいい方に変わりつつあると思う。 姉としてはそれが嬉しいと同時に少し寂しい。 それはあの人間と過ごすようになってから、あの人間の影響を受けてからだろう。 だとしたら、今一番蒼星石を理解しているのはあの人間かもしれない。 それならそれでもいい。 双子の絆に結ばれたのは自分だけ。 そういう意味ではあの人間、蒼星石のマスターとは違った意味で一番で居られるのだから。